藤原 桃(ファゴット)
ファゴットパートの藤原と申します。約1年前、団内の「新響改革プロジェクト」について、2回にわたり長々と運営の話を書かせて頂きました。
- 新響改革プロジェクト ~ これからの新響にご期待ください!(2024年12月)
- 新響改革プロジェクト(続編)~ これからの新響にご期待ください!(2025年3月)
この「新響改革プロジェクト」は、
- 団員の高齢化
- 新入団員の減少
- 新響の認知度の低下、活動の陳腐化
という3つの問題に立ち向かうために、
- 広報プロジェクト
- 人事プロジェクト
- 中長期計画プロジェクト
という3つの柱で集中的に団運営の改革をはかるというもので、とくに ③ については
- 2025年 … 芥川也寸志 生誕100年
- 2026年 … 新響 創立70周年
という2年連続のメモリアルイヤーにおける演奏会企画立案が喫緊の使命でもありました。
本誌に前回の拙文が掲載された時点では、これらの企画がようやく練り上がり、各改革はスタートしたばかりの段階でした。気づけばその後1年以上が経過したわけですが、果たしてプロジェクトの成果はどんな具合だったのか。貴重な紙面を2回も頂いて大々的に計画を披露させて頂いた手前、維持会員の皆様にきちんと結果をご報告せねばということで、直近の世間の情勢を踏まえての雑感や今後の企みも含め、またしばしお付き合いください。
2025年の各演奏会を振り返って
結論から言うと、各プロジェクトにおいて打った様々な方向性の企画については、どれも相応の手応えを得られています。まずは2025年~直近の各演奏会について、簡単に振り返ってみます。
第268回演奏会 (2025/1/5) @ミューザ川崎 シンフォニーホール
指揮:城谷 正博
- ワーグナー/「ジークフリート」ハイライト
(ジークフリート:片寄 純也、ブリュンヒルデ:池田 香織、ミーメ:升島 唯博)
★ 来場者数 1,262名(満席率 63%)
第269回演奏会 (2025/4/19) @サントリーホール 大ホール
指揮:坂入 健司郎
- 芥川 也寸志/オーケストラとオルガンのための「響」(オルガン:石丸 由佳)
- シチェドリン/ピアノ協奏曲 第2番(ピアノ:松田 華音)
- ショスタコーヴィチ/交響曲 第4番 ハ短調
★ 来場者数 1,694名(満席率 84%)
第270回演奏会 (2025.7.21) @東京国際フォーラム ホールC
指揮:坂入 健司郎
- 芥川 也寸志/「赤穂浪士」テーマ音楽
- 坂田 晃一/「おしん」「おんな太閤記」「いのち」「春日局」
- 武満 徹/オーケストラのための「波の盆」
- 芥川 也寸志/映画音楽組曲「八甲田山」
- レブエルタス/組曲「マヤ族の夜」
- 伊福部 昭/SF交響ファンタジー 第1番
★ 来場者数 1,306名(満席率 87%)
第271回演奏会 (2025/10/13) @東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:寺岡 清高
- 芥川 也寸志/絃楽のための三楽章 ― トリプティーク
- ベートーヴェン/交響曲 第2番 ニ長調
- 芥川 也寸志/交響管絃楽のための音楽
- ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調
★ 来場者数 1,359名(満席率 68%)
第272回演奏会 (2026/1/12) @東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:矢崎彦太郎
- 坂田 晃一/管弦楽のための「詩篇」― “Don’t Stop Talking About Them”[新交響楽団 委嘱・初演]
- マーラー/交響曲 第3番 ニ短調
(アルト:池田 香織、女声合唱:東京アルカイク・レディースシンガーズ、児童合唱:東京少年少女合唱隊)
★ 来場者数 1,650名(満席率 83%)
怒涛の2025年は第268回演奏会、まだ松の内も明けない1月5日から早速始まりました。新響にとって2025年の大きな課題は、ホームである東京芸術劇場が改修工事で使えなかったこと。このため、重要なアニバーサリーイヤーの各企画演奏会を、初めましてのホールを転々としながら開催するという何もかも普段とは異なる1年でした。オケとしては、ハコに合わせた響きをその場で作る経験を積めたともいえますし、各ホール近隣の方など、新たな層のお客様にお越し頂くチャンスだったとも思います。とはいえ、第271回演奏会で1年ぶりに芸劇へ帰ってきたときの安心感(そしていつものお店で本番終了後の打ち上げができる喜び)といったら!継続的に芸劇を使用できている普段の状況の有難さを、 改めて団員一同で噛みしめた次第です。
2025年、芥川先生の作品を採り上げる演奏会はプロアマ問わず多く開催され、各メディア等でも様々な特集が組まれるなど、「芥川也寸志生誕100年」は大きな盛り上がりを見せました。当団も芥川先生に育てられたオケとして、この大事な1年を良い企画で牽引せねばという矜持の下、サントリーホールでの第269回演奏会から3回シリーズで記念演奏会を行いました。芥川先生を顕彰するといっても、新響は年4回も演奏会を実施しているため、どこか1つのコンサートを「芥川作品縛り」のようなガチガチの個展にする必要はありません。逆に芥川先生の創作における様々な側面を、第269回演奏会は「前衛」、第270回演奏会は「大衆」、そして第271回演奏会は「古典」と分散させたことで、息の長いキャンペーンにしつつ、各回の演奏会としても、それぞれ腑に落ちる内容にまとめられたかなと思っています。
この作戦が功を奏したか、各回の演奏会には大変多くのお客様にお越し頂くことができました。第269回、第270回は前売りチケットがほぼ完売という有難い状況。映画やドラマの音楽を軸に組み立てた第270回演奏会では、コンサートの進行をトーク仕立てにしたりと、普段の新響ではあまりやらない構成に挑戦してみました。第271回で実施したプレコンサート(金管アンサンブル)も好評であり、こうした小さいけれど新たな仕掛けを今後も取り入れていければと思っています。
ついでに「新響創立70周年」のアニバーサリーイヤーである2026年もすでにスタートしています。一発目は、当団団員でもある作曲家・坂田晃一による委嘱新曲と、マーラーの3番という、これまた超弩級の企画。こちらも大変多くのお客様にお越し頂きました。創立70周年については、いわゆる記念演奏会はこの1回のみですが、今年は「アーカイブ」をキーワードに演奏以外の企画を展開していく予定です。これについては、詳しくは後述します。
広報プロジェクトでの取り組み
結局のところ、「広報」・「人事」・「中長期企画」のプロジェクトを通して感じたのは、この3つは相互に深く関係しているということでした。魅力的な企画・活動を成功させるためには広報が必要であり、広報すればお客様も新たな団員も集まってきて、さらに良い活動ができ、それが露出の機会をまた増加させるという循環があります。ということで、以下が「広報」に類するプロジェクト開始以降の取り組みですが、団として仕掛けたものもあれば、団の活動を知った相手方からお声がけを頂いたものもあります。
- SNS投稿の充実化(2024年度~)
- YouTubeチャンネル開始(2024年7月)
- 漫画家とのコラボ冊子作成(2025年4月)
- 過去録音のCD化(2025年4月~)
- 団公式サイトのリニューアル(2025年5月)
- 各メディア露出(2025年3月~)
前回の拙文でご紹介した内容も多いので、本稿では主に ④、⑥ についてご報告します。
④ 過去録音のCD化(2025年4月~)
東武商事さん、キングレコードさんからそれぞれ商品化のご提案を頂き、昨年から集中的に過去録音のCDをリリースしています。詳しくは次ページの一覧表をご覧ください。
新響には過去70年分の膨大な演奏会録音、録画が遺されており、護国寺の団事務所にはオープンリール、ベータやVHSなど、様々な記憶媒体が山と積み上げられております。これらのアナログデータはいずれも劣化が相当進んでおり、再生不可能になる前に、データをデジタル化することが急務となっています。団でも、維持会費などを活用させて頂きながら少しずつデジタル化を進めているのですが、手間とお金がかかるのも事実(テープに生えたカビを熱処理したり、くっついてるのをはがしたり…業者に依頼していますが、年代物なので手を焼くようです)団として、メモリアルイヤーも見据え、多くの人に届く形の成果物として何等か発表していきたいという想いもありました。

そんな中、声をかけて下さったのが東武商事さん。「新響の未発表過去録音を発掘し、デジタルリマスターを行った上でCDとして商品化したい」と熱い企画提案をしてくださり、リリースが決定。現在、第4弾まで発売しています。製作にあたっては、新響もデータ提供のみならず内容選定や資料提供、校正チェックなど大いに関わらせて頂いております。我々の録音に商業的価値がどのくらいあるのか、自分たちではなかなか分かりかねるところもあるのですが(ちなみに商品化に係る許諾料は少しだけ頂いていますが、売り上げに応じた新響へのロイヤルティみたいなのは特にありません)、録音データが救われて日の目を見られるだけでなく、新響の演奏をより多くの方に聞いて頂く手段の1つとして、レーベルさんからCDをリリースできるのは大変ありがたいことだと感じています。昨年10月にリリースした、芥川先生が最後に新響を振った定期演奏会の録音を含む3枚目のCDは、日経新聞日曜版の人気コーナー「名作コンシェルジュ」に取り上げて頂き、多くの方に存在を認知頂けたようです。
またキングレコードさんからは、「芥川生誕100年記念として新録音を含む新譜を企画しており、第269回演奏会での『オルガンとオーケストラのための「響」』をライブ録音して収録させてほしい」というお話を頂きました。確か本番の2か月前くらいに舞い込んだご提案だったかと思いますが、当日はサントリーホールの舞台上に収録用のマイクがずらっと並べられ、奏者としては緊張感と特別感がいや増す事態となりました(一応リハーサルや別録りも行って、大事故に備えてはいましたが、とりあえず本番が上手くいって心底安堵したことを覚えています)。このCDに収録されている新響の演奏は「響」1曲のみですが、『レコード芸術』(現在はオンラインで運営してらっしゃいます)の「特選盤」に選んで頂き、話題になりました。
デジタル化できていない音源はまだまだあり、今後もこれらを救い出しつつ、様々な形でひろく共有していきたいと考えています。
- TBRCD-0173/75(3枚組)「山田一雄指揮 新交響楽団」(2025年4月発売)
- マーラー/交響曲 第5番 嬰ハ短調(第86回演奏会)
- マーラー/交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」(第90回演奏会)
- マーラー/花の章(第86回演奏会)
- TBRCD-0176/78(3枚組)「芥川也寸志指揮 新交響楽団」(2025年7月発売)
- 2025年7月発売、指揮:芥川 也寸志、1960~80年代のライブ録音
- チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調(第109回演奏会)
- チャイコフスキー(芥川也寸志編)/ただ憧れを知る者だけが(同上)
- チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調(第97回演奏会)
- 同曲のリハーサル風景(1967年9月3日)
- チャイコフスキー/交響曲 第6番 ロ短調「悲愴」(第25回演奏会)
- チャイコフスキー/イタリア奇想曲(同上)
- TBRCD-0179/81(3枚組)「芥川也寸志指揮 新交響楽団 Vol.2」(2025年10月発売)
- ベートーヴェン/交響曲 第9番 ニ短調(第100回演奏会)
- ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」(第109回演奏会)
- モーツァルト/交響曲 第40番 ト短調(第102回演奏会)
- ショスタコーヴィチ/交響曲 第5番 ニ短調(同上)
- モーツァルト/交響曲 第39番 変ホ長調(第111回定期演奏会)
- ファリャ/歌劇「はかなき人生」間奏曲(第119回定期演奏会)
- ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」(1925年版)(同上)
- ファリャ/バレエ音楽「三角帽子」(同上)
- TBRCD-0187/90(4枚組)「山田一雄指揮 新交響楽団 Vol.2」(2026年4月発売)
- シューベルト/交響曲 第7番 ロ短調「未完成」(第108回演奏会)
- ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」(第104回演奏会)
- ワーグナー/「神々の黄昏」より(同上)
- マーラー/交響曲 第3番 ニ短調(第105回演奏会)
- マーラー/大地の歌(第108回演奏会)
- KICC-1635「響 芥川也寸志の音楽世界」(2025年10月発売)
- 芥川 也寸志/オルガンとオーケストラのための「響」(第269回演奏会)
⑥ 各メディア露出(2025年3月~)
新響では主に公式サイトと各種SNSで日々の活動をPRしていますが、2025年においてはありがたいことにマスメディア、Webメディアからの取材もいくつかお声がけ頂き、記事にして頂きました。
- 2025年3月 コンサートスクウェア
- 2025年6月 共同通信社
- 2025年7月 朝日新聞社
いずれも大変丁寧な取材をして下さり、特に新聞記事にして頂いたことで、Web中心である団の広報では普段リーチできない層にも新響のことを知って頂けたと感じています。アニバーサリーイヤーでもない限り、そうそうある機会ではないと思いますが、やはりマスメディアの力は大きいものがあります。また取材を積極的に受け入れ、団の存在や活動を度々外部から紹介して頂くことで、団内でも自己内省や活動意義の再確認の好機となったのは思わぬ収穫でした。
2026年における「アーカイブ事業」
ここまで、主に2025年の活動を振り返ってきましたが、今年2026年は新交響楽団の創立70周年というこれまたメモリアルイヤーです。先述のとおり、記念演奏会としては、すでに2026年1月12日の第272回演奏会で大作を採り上げており、その後の各コンサートでは曲目内容としてアニバーサリーを特段意識しているわけではありません。その代わり、今年度の企画として予定しているのが「アーカイブ事業」です。
これはアーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)さんの助成を受け、新響の事務所に眠っている過去70年分の演奏会チラシ、パンフレット、特別冊子、写真などの紙資料を一気にスキャニングし、団公式サイトにデジタルアーカイブを立ち上げてひろく公開するプロジェクトです。現在、事務所の紙資料の棚卸とスキャニング業者さんへの発送まで完了。秋ごろには、デジタルアーカイブのページを公開できるように準備を進めているところです。凄まじい充実ぶりの過去プログラム類(武満徹の対談なんかがさらっと載っていたりします)、芥川先生の活き活きしたスナップなど、これは新響の事務所に死蔵されていてはいかんだろうという資料類を、ぜひ皆様にもご覧いただきたいと思います。デジタルアーカイブ公開の折には、また改めてご案内を差し上げます。

文化を保つ土として
さて突然ですが、今年の春は、日本の文化行政の在り方と文化の行く末を考えさせられるニュースが立て続けに発表されました。ご存じの方も多いかと思いますが、まずは3月に話題となった、神戸市室内管弦楽団の存続に関するニュース。正確には、楽団を運営する神戸市市民文化振興財団への市助成が打ち切られるので、財団が楽団の解散を検討しているという図で、現在は「継続審議」状態にて、直近の演奏会での集客結果如何で判断という厳しい状況になっています。
2つめは、文部科学省が発表した、令和8年度からの「国立博物館・国立美術館中期目標」。特筆すべきはカネに係る部分で、各館の運営における収支の数値目標が定められ、展示事業費に対する自己収入割合が低い場合には「再編」の対象になることが明記されました。端的にいえば、文科省が博物館や美術館に対して「稼ぐこと」を求めはじめ、稼げない館のままでは存続させてあげないよ、という姿勢を見せてきたと捉えうる内容です。
そして3つめが、同じく文部科学省が3月末に改正した「博物館の設置および運営上の望ましい基準」。これは博物館法に基づいて国が定める、全国の博物館運営の基準です。この中で、博物館で所蔵する収蔵品(資料)の管理においては、「廃棄」も1つの手段として検討することが明記されました。この背景には、全国の博物館が直面する深刻な「収蔵庫不足」があります。実は筆者は本職が文化財行政職員なのですが、弊市の博物館の収蔵庫も収納率180%超といったところですので、各館が収容能力以上の資料に埋もれてにっちもさっちもいかなくなっている現状は痛いほど把握しております。とはいえ、博物館が資料として受け入れたモノを「廃棄」するという文言が、政府の策定する基準に記載されるのは初めてのことであり、「それって本当に許されることなんでしょうか」という焦りが広がっております。
これらのニュースへの言いようのない危機感は、おそらく、当座の経済状況や時流に流されて、これまで何とか手放さずに来たものを諦める選択肢を示してしまう政府の視野の狭さ、余裕の無さに対するものでしょう。収益性がなく、積極的に救わないと失われてしまうものを守る仕事こそ公的部門が担保するべきところ、それを切り捨てる方向性を見せてしまう。例えば今後「廃棄」検討の俎上に載せられうる博物館資料としては、未整理・未調査で価値を説明できないものや、展示に向いてない、もっと言えば収益に結びつかなそうなものということになっていくのでしょうが、それを今、我々の知識や価値観で判断してしまってよいのか。未来の人々にとっての文化を捨てることにならないのでしょうか。
冒頭でご紹介した神戸市室内管弦楽団。その音楽監督である鈴木秀美氏が、楽団の存続に係る一連の報道を受けて開催した記者会見で、以下のようなコメントをされています。
文化とは何か。音楽もそうですし、美術や彫刻あるいは文学も、芸術はすべて数値で測れないものです。それに価値を見出すからこそ、私たちは人間であるんです。そのためには、ある程度の知識とそれを継続していくことが必要です。音楽そのものの価値というのは、文学や美術などと同じように、時間をかけて、尊敬と理解を持って見ていく、聴いていくことによって分かってくるという面が多分にあります。ですから、目の前の数値目標とか、儲かるものは残っていいが、そうではないものは切っていくというのは非常に殺伐とした感じがいたします。
この鈴木氏のコメントに、まさに全てが詰まっていると言えます。ここに至って筆者が考えるのは、では、我々は、日本の音楽や文化を今後も皆で尊重し、未来に向けて継承していくために、何ができるだろうかということです。多くのプロ楽団や博物館・美術館が「稼ぐこと」を強要され苦しんでいる状況にあって、アマチュアオーケストラというのは採算を完全に度外視した活動を行える存在です(維持会員の皆様、いつも本当にありがとうございます)。裏を返せば、芥川先生が提唱された「アマチュア」= 純粋に音楽を愛し、音楽のための企みを実行できる我々の立場というのは、ここにきて重要度を増しているような気がします。それは、やりたい曲を演奏できるという意味合いから、さらにもう一歩外を、先を見据えたものです。
音楽という文化は、演奏活動のみによって成り立つものではありません。作曲家・演奏者・聴衆という三者が積極的・有機的に結びつき、好循環を生み出すことで初めて継続し、深化・充実化できる営みです。そして三者を結びつけるツールの1つが、作曲家・作品とその時代背景に関する資料や、演奏の記録ということになるかと思います。もちろん、一介のアマオケが何を演奏しようが、お客さんが全然来まいが、過去の資料や録音を全部捨てようが、誰に咎められるものでもありません。でも2025年に当団が打った各企画は、演奏会に来てくださった沢山のお客様や、各事業に賛同し、周知協力してくださった方のお陰で、想定以上の拡がりをもつことができました。こうした相互の関係性の下に、我々は70年もの間音楽を自由に愛し続け、活動し続けてこられたのかなと改めて感じる次第です。だからこそ、これまでやってきたことや、あるいは2026年にやろうとしているアーカイブ事業を通して、新響という息の長いアマオケが、日本の音楽文化の現在と未来を保っていく土の一部になれるのかもしれない。なっていかねばならないのかもしれないと、この春の様々なニュースやそれに対する意見を見聞きしながら、いち運営担当としてぼんやり考え続けています。
